■建築研究報告 |
新潟地震による建築物の被害 建築研究報告 No.42, 1965 建設省建築研究所 |
<概要> |
今回の新潟地震ではその規模に比べて人命の損失が少なかったことは不幸中の幸いというべきであろう。 しかし一方建築その他の構造物の被害の様相には,これまでにあまり経験しなかった特徴が認められ,日頃都市防災に関する研究に従事しているものにとっては,従来の研究に重要な反省の機会を与えられたと同時に,今後の防災技術対策上にも貴重な訓練を得たと思っている。 当研究所としては,この地震直後に現地踏査を行って一応震災の特徴を把み,災害調査の方針とその重点を定めた上で,改めて第3研究部を主力に所内各部課の合同による調査隊を現地に派遣して綿密な調査を行ったが,これらの経緯については第1章に詳らかである。 この報告書の内容は,主として以上の調査にもとづく忠実な震害記録に一通りの考察を加えたもので,後日のために必要と思われる資料はなるべく省かずに収録する方針であったが,やはり紙面の都合上担当者の折角の労作で余儀なく割愛したものも少なくない。 またこの調査そのものは関係者の緊密な協力によって,早期に,しかもかなり能率よく取り運ばれたが,これによって得られたぼう大な資料と,関係方面から寄せられた資料をも併せてその整理と解析には意外の長期間を要した。それに報文の執筆には調査関係者21名が分担して当たったので,その編集にも若干の日時を費やしてようやく上梓の運びになったものである。 ここに忌憚のないご高評を仰ぐとともに,改めて本調査研究に寄せられた官民各方面のご協力に対して厚くお礼申上げる次第である。 なお当研究所では,防災科学技術センターの調整による新潟地震防災総合研究の内「軟弱地盤における建築物の耐震性に関する研究」を担当し,この調査と並行して行ってきた。その研究はまだ完了していないが,本報告中には上記研究の一部が含められている。 |
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建設省建築研究所長 工学博士 平賀謙一 |