■建築研究報告

簡易耐火構造住宅に関する実験的研究

簡易耐火構造住宅委員会

建築研究報告  No.39,  1962  建設省建築研究所


<概要>

  ここ数年来、建設省住宅局の委託により不燃住宅の構造合理化に関する一連の実験的研究を行ってきたが、とくに昭和35年度からは木造住宅に代わるべき工費低廉な簡易耐火構造住宅の標準設計の確立を目ざして、住宅局の要望に沿いながら、設計上の指針を実験によって求めたものがこの報告書である。
  木造に代わる簡易な平家連続建不燃構造として、独立戸堺壁にプレキャストコンクリート版を組立てて使用し、これに耐風・耐震・耐火壁としての役目をもたせる構造工法を採用した。これを公営住宅の建設に利用しうるよう、まず標準設計案を作成した。ついで、この設計案に応じてプレキャストコンクリート版を組立てる場合の簡便かつ耐力の確保できる構法を模型による構造実験で確かめ、さらに戸堺壁の屋根裏部分の耐火性に関する模型による火災実験を行ったが、その結果は一応所期の目的を充足しうるものであるという見通しが得られた。
  これらの研究については、住宅局の要望に沿って総合的な検討を行うため、所内各研究部から関係研究員が参加した簡易耐火構造住宅委員会を設けてこれを推進しているが、次年度においてはさらに検討・改良の上実施設計案を練り、これに基づいて実大建物による実験を行い、簡易耐火構造住宅の標準設計を確立する予定である。
  上記の実験的研究は、住宅建設の不燃化ならびに工業化という緊急かつ重要な課題の技術的解明に寄与するものと考えられるが、本報告に対して関係各方面のご意見、ご助言をお願いする次第である。

昭和37年2月

建設省建築研究所長
工学博士  竹山謙三郎

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