地方中心都市圏における都市交通計画の立案方法に関する調査
浅野 光行, 菊地 正倫, 棚橋 一郎
建築研究資料 No.53, March 1985, 建設省建築研究所
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<概要> |
大都市圏、地方中枢都市圏、地方中核都市圏など比較的大きな都市圏における都市交通計の立案方法は、パーソントリップ調査や物資流動調査などからのデータを基礎として体系化されつつある。しかし、地方中心都市圏においては、都市OD調査をベースとしているものの、これらの都市圏がかかえている多様できめ細かい計画課題に応えられるような都市交通計画の立案手法は必ずしも十分に確立されていない。
本研究においては、現在、緊急に要求されている地方中心都市圏の都市交通計画の立案手法を、地方中心都市圏の課題特性、計画情報の整備状況、パーソントリップ調査との対比等より検討し提案している。
はじめに研究の背景と目的を明らかにし、第2章で総合都市交通計画の性画、理念、段階構成、原則的な立案プロセスのあり方などを明かにしている。計画立案手法は、様々なバリエーションが考えられるといえども、現実的で、かつ充実した成果を出すためには、特に調査の段階構成を充分ふまえることが重要であると考えられる。
第3章は、本研究の中心となる部分である。これまで各地方中心都市圏で試行錯誤的に行われてきた都市交通計画を様々な角度から検討し、良い部分はとり入れ、不充分な部分の反省を行った。最後にそれらをふまえて、計画マニアルとしても利用できるような立案手法の体系化を行い、提案した。提案にあたっては、より多くの事例を掲載し、実務にあたりそれらの方法を直接把握できるよう表現を工夫している。
第4章においては、各計画段階に必要となる計画情報の作成方法を検討し、第5章においては、必要計画情報をいかなるデータソースから選択しうるかについて示している。地方中心都市圏の都市交通計画のベースは、道路交通センサスの一環として実施される都市OD調査のデータを基礎としているが、このデータだけでは、どうしても幹線自動車交通への対応のみに調査の重心がかたよってしまうおそれがある。しかしながら多くの調査を加えることは現実的ではない。そこで、必要計画情報は、既存の蓄積されたデータを最大限に利用することで、充分取り揃えることが出来るということが4章、5章での展開から理解されるものと思われる。
第6章では、これらの点を含め、研究結果のまとめと今後の課題を述べている。
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