2014年5月20~21日にフランス・パリで開催された、第107回CIB理事会(建築研究所からは西山功理事が参加)の開催運営を行ったCSTB(フランス建築科学技術センター、CIB正会員)の活動概要等を紹介します。建築研究所はCSTBとは1985年、1988年に分野毎の共同研究協定をそれぞれ締結、その後2012年には、より包括的な形の研究協力協定の締結を行うなど、両者はかねてから協力関係にあります。
CSTB 2013年次報告より(英語版は →こちら)
上記「2013年次報告」において、バートランド・デルキャンブル(BERTRAND DELCAMBRE)CSTB会長(当時)は、2013年は、仏政府の環境政策(環境グルネル)に打ち出された各種のプロジェクトが進行する中で重要な年であったとしています。
また、新たに仏政府との間で締結された、2014年以降4年間のCSTBの目標・活動を定めた協定について、そのキーポイントは、結果を出し、革新的な取組みを支え、都市環境性能を高め、総合的な建築性能を探求することとしています。
CSTBは、建築物の環境負荷について複数の基準を有する評価手法の開発に携わっており、それは建設から取壊しまで建築物の一生にわたる材料、部品及び構造物のライフサイクルアセスメントを含むもので、2013年はデータと資料の整備に顕著な進展があったとしています。そしてBIMの活用により、あらゆる環境性能が設計の段階で判るようになるとのことです。これは、建築物の生産性と品質において重要な改善をもたらすもので、多くの利用者に受け入れられるであろうとしています。
都市の環境面においては2013年にCSTBは、近隣地区環境評価について初めてとなる国の認定スキームの構築に寄与しました。さらに低炭素都市エネルギーを専門的に扱う機関として、Efficacity都市エネルギー転換研究所の設立にも関与したとしています。
そして最後に、2013年におけるCSTBの主要なプロジェクトとして、HQE(フランスのグリーンビル認証制度)を推進する機関であるCerwayを9月に設立したこと,さらに,ベルサイユにおいて2014年6月に開催されるソーラー・デカスロン2014コンペについて、仏政府よりCSTBが企画を委託されたことについても紹介されています。
また上記「2013年次報告」において、CEOであるキャロル・ル・ギャル(CAROLLE LE GALL)氏は、環境への配慮とエネルギー転換は、全ての建築関係者にとっての構造的目標であると同時に、設計・建築・改修に対し全く新しいアプローチを必要とする、としています。
新しいアプローチへの転換を成功させるためには、企業による献身や公共と民間の協同、対話と信頼が求められる中、CSTBは施工主、建設会社、関係メーカーとの間に立ち、議論と専門的知識の共有を促進させる能力を有するとしています。またそれぞれの詳細なニーズへの対応と将来的な課題の予測によって、企業、非営利組織、公的関係者など、幅広い建築関係者による革新的な動きに寄与することは、2014年以降のCSTBの活動目標でも重視されているとしています。またそのためには、CSTB職員の学際的な専門スキルの向上と、トップクラスの研究活動及び試験施設への継続的な投資が必要であるとしています。そして得られた成果はCSTBの国際的な協力関係にも関係し、CSTBによって発議、企画された協同的イニシアチブには、数多くの研究者や専門家が参加しており、科学的かつ実践的なプロジェクトに関係している、としています。
そしてCSTBは、全ての建築関係者と共に、建築の将来を立ち上げる存在である、としています。
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